この記事を書いた人
Doktor Nakano
成蹊大学から東京大学大学院農学生命科学研究科へ進学。
同研究科博士後期まで進学し博士号取得(農学博士)。
ポスドクとして海外留学後、日本に帰国しバイオベンチャーにて再生医薬品開発に従事中。
中堅私大から東大大学院へ進学できた私の試験対策や進学後の大学院生活についてお伝えいたします。
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私のブログが一人でも多くの方の夢や目標を叶える一助になれば幸いです。
東大をはじめ大学院入学についてご質問がある方は、ツイッター@DoktorNakanoまたはこちらよりお問い合わせください。
注意
本記事は、私Doktror Nakanoの経験と独自に調べた内容となっておりますことご了承ください。誤情報がないように最新の注意は払っておりますが、万が一記載内容から皆様が不利益を被られましも一切の責任は負えませんこと重ねてご了承ください。
読者の皆様の全てのケースに当てはまる内容ではないため、各位の状況に応じまして情報を調べて頂けますと幸いです。
こんな方におすすめの1冊
- 美術と聞くとアレルギーが出る。
- アート思考とはなにか?を知りたい。
- アートに興味があるけど、何からしたらいいか分からない。
今回ご紹介する本は、末永幸歩(すえなが ゆきほ)さん著「13歳からのアート思考」です。
2021年の上半期が過ぎようとしている中で、今年読んだ中で一番感銘を受けた本になります。
結論|Take home message
この本が伝えたいメッセージ・結論は以下に集約されます。
Take home message
VUCAな世の中でかつ人生100年時代に、「常識」や「正解」にとらわれず、「自分の内側にある興味」をもとに、「自分のものの見方」で世界をとらえ、「自分なりの探求」を続けること。
→「アート思考」である。
VUCAとは、奇遇にも私のプロフィールで紹介しているように。
VUCAとは
Volitility(変動性・不安定さ)・Uncertainty(不確実性・不確定さ)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性・不明瞭さ)の4つの文字の頭文字を取った言葉です。
現在の世界の情勢、経営環境や個人のキャリアなどが、不安定で不確実な状況を表している言葉です。
この本を出会ったキッカケ
所属している会社の朝会で、副社長が紹介されていたのがこの本を知るキッカケになります。
紹介されたあと、会社の文庫にあったのですが、すぐには読まず数ヶ月建ってから目に入って手にとったのがキッカケになります。
アート思考を構成する3つの要素
アート思考は植物に例えると理解しやすくなります。
アート思考は「表現の花」「興味のタネ」「探求の根」の3つの要素から成り立っており、さらに、興味のタネは「興味」「好奇心」「疑問」から構成されています。
アートという植物
- 表現の花
- 興味のタネ
- 興味
- 好奇心
- 疑問
- 探求の根
この3つの要素のうち、興味のタネと探求の根の部分にあたり、作品が生み出されるまでの過程こそがアート思考です。
表現の花はその過程を経て結果として作品として世の中に発出されます。
数学 vs 美術
また、著者の末永さんは美術を数学と対比させています。
数学 vs 美術
数学;「正解=(太陽)」を”見つける”能力を養う。
美術:「自分なりの答え(=雲)」を”つくる”能力を育む。
Doktor Nakanoの着目ポイント
私がこの本を紹介したいと思ったのは、アート思考の課外授業の初級としてまずは「アウトプット鑑賞」をしましょうということにこの本の中で一番共感したからです。
アウトプットしようと心がけると、どのような色が使われ、どのような線で描かれ、どのような絵の具、キャンバスを使っているかなど深い洞察ができるようになってきます。
これは、私もブログを書いていて感じていますが、アウトプットしようとすると「ここはどうなっているの?」「これはどういうことだっけ?」など自分でも分からない点が分かってきて、それがインプットを生み、さらにアウトプットしていくというサイクルが回りより深いインプットとアウトプットが生まれます。
アウトプットが大切ということは気づいていたのですが、この13歳からのアート思考を読んでアウトプット鑑賞がまず出てきたことにとても驚きました。
現代に求められているのは自分の思考をどのようにアウトプットし、そこから以下に多くのフィールドバックやインプットを得られるということが大切であるということを確信できました。
アート思考の課外授業
step
1初級:アウトプット鑑賞
方法:作品を見て、気がついたことや感じたことをアウトプットする。
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2中級:作品とのやりとり
方法:作品だけを見て、(作者の意図や解説と全く関係ないところで)自分でなにかを感じ取ったり、考えたりする。
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3中級:常識を破る鑑賞
方法:意図的に、これまでとは少し違った角度から作品を眺めてみる。
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4上級:背景とのやりとり
方法:作品背景を知ったうえで、それらを“自分なりに考えて”みる。
まとめ
「13歳からのアート思考」を紹介してきました。
今どうしてこのアート思考が現在に求められているのか、その答えは本書の帯にも登場する山口周さんの記事がヒントになります。
山口周(以下、山口):僕が『ニュータイプの時代』などの著書や、こうして講演を通して、いつもみなさんに伝えているのは、ビジネスには「真・善・美」のバランスが大切ということです。
それぞれに役割分担は違っても、突き詰めれば経営者がやっていることも中管理職の人がやっていることも実は同じで、「意思決定」なんですね。スポーツの世界のように瞬間的に勝敗が決まるのではなく、ビジネスの世界では常に意思決定を繰り返しているわけです。
では、どのようなものが「良い意思決定」なのか?
僕は「真・善・美」に則っているのが良い意思決定だと考えます。これらのうちのどれかを踏み外すと、うまくビジネスが回らなくなります。
例えば、「真」だけに則り「善」がなければ、企業価値は上がっても世の中からは袋叩きにあってしまう。逆に「善」だけに則り「真」がなければ、会社の利益には繋がらない。あるいは「真」と「善」に則っていても、「美」がなければ、人の心を打つことはできません。
会社が潤い(真)、世の中のためになり(善)、かつ人の心を打つもの(美)、それらの要素が満たされて、はじめて正しいビジネスと言えるのだと僕は思います。
昨今、欧米ではMBA(経営学修士)に代わってMFAよりも、MFA(美術学修士)という学位を取得しようとする人が増えているのも、ビジネスの世界において「真・善・美」のバランスが求められつつあることの証左なのでしょう。
出典:DIAMOND online記事:【山口周】MBAの価値が急落し、世界のエリートは今「MFA」を求める。
この通り、現代のグローバルエリートはMBAからThe New MBAと言われるMFA (Master of FIne Arts:美術学修士)に注目が集まっています。
それは、現代のビジネスにおいても、大量生産・大量消費の利益の追求をしてきた時代から「美」に表現される人を魅了する何かが求められているからだと思います。
この「真・善・美」を全て体現しているのは、本書でも紹介されていますが、アップルの創業者スティーブ・ジョブスです。
今では誰もが知るiPhoneやiPadそしてMacbookなど機能だけでなく、そのデザインまでも追求した美しい製品を数々生み出してきました。
これはスティーブ・ジョブスのアート思考により、興味・好奇心を探求した結果、大きな表現の花を咲かした結果だと思います。
私もその花に魅了された一人です(アップル信者)。
私もこれから私の興味のタネを増やし、探求の根を伸ばして行きたいと思います。
Doktor Nakano (@DoktorNakano)