この記事を書いた人
Doktor Nakano
成蹊大学から東京大学大学院農学生命科学研究科へ進学。
同研究科博士後期まで進学し博士号取得(農学博士)。
ポスドクとして海外留学後、日本に帰国しバイオベンチャーにて再生医薬品開発に従事中。
中堅私大から東大大学院へ進学できた私の試験対策や進学後の大学院生活についてお伝えいたします。
▼私の詳しいプロフィールはこちら▼
私のブログが一人でも多くの方の夢や目標を叶える一助になれば幸いです。
東大をはじめ大学院入学についてご質問がある方は、ツイッター@DoktorNakanoまたはこちらよりお問い合わせください。
注意
本記事は、私Doktror Nakanoの経験と独自に調べた内容となっておりますことご了承ください。誤情報がないように最新の注意は払っておりますが、万が一記載内容から皆様が不利益を被られましも一切の責任は負えませんこと重ねてご了承ください。
読者の皆様の全てのケースに当てはまる内容ではないため、各位の状況に応じまして情報を調べて頂けますと幸いです。
こんな方におすすめ
- 東大大学院を目指している方。
- 東大大学院へ進学した場合のメリット・デメリットを知りたい。
東大大学院を目指している方の中には、以下のような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
東大大学院へ進学する
この記事を読んでくれているあなたは、東大大学院への進学を目指している、または東大大学院に合格して入学を控えている方が多いのではないでしょうか?
東大大学院に目指したいけれど、実際に合格し入学したあとついていけるのか、どのような学生生活が待っているのか、進路にどのような影響があるのか期待と不安がいりまじっていることかと思います。
実際に私もそうでした。入試試験までは東大に合格することしか考えていませんでしたが、いざ合格してみると周りはみんな東大生。
高校生のときは、東大に受かるひとは秀才かいいかたを間違えれば既知外な人ばかり!? 学年1番の秀才でも東大は難しいというくらいでした。
入学試験には合格したものの、本当についていけるのか不安でした。
ただ、これは無用な不安です。入ってしまえばあなたも立派な東大生。東大という名前に翻弄されることなく、日々研究に邁進して、自分の進みたいと思う道に進んで行っていただきたいと思います。
また、東大の大学院では半分程度は外部からの学生です。なので、研究室は違えど、同級生でお互い励まし、助け合って大学院生活を楽しんでいただきたいと思います。
実際に東大大学院に入学する出身大学も紹介しているので参考にしてみてください。
-
合わせて読みたい【東大大学院入試情報】合格者の出身大学は?
この記事を書いた人 Doktor Nakano 成蹊大学から東京大学大学院農学生命科学研究科へ進学。 同研究科博士後期まで進学し博士号取得(農学博士)。 ポスドクとして海外留学後、日本に帰国しバイオベ ...
続きを見る
これから大学院受験を目指している方は東大大学院入試対策についても紹介しているので参考にしてみてください。
ここから、実際に東大大学院に合格し、博士課程を卒業した私の経験から、東大大学院進学へのメリット・デメリットを紹介します。
東大大学院へ進学するメリット
まず、東大大学院へ行くメリットを紹介します。
以下が思いついた限りでのメリット一覧です。
メリット一覧
- 人脈が広がる
- 優秀な学生が集まる
- 私大に比べ学費が安い
- 大学運営交付金が日本で一番多い
- 東大は海外でもしられている
- 東大大学院卒という学歴がつく
以上になります。
それぞれのメリットについて詳しく紹介します。
人脈が広がる
私はこれが東大大学院へ進学して良かったと思うことであり、私の一番大切な財産の一つです。
やはり、人との出会いは大きいなと感じています。私自身素晴らしい恩師と先輩・同期・後輩と出会うことができました。恩師には、在学中に限らず卒業後も幾度となく助けていただいています。
東大の卒業生はご存知の方も多いかと思いますが、特に、大学を含めた各研究期間、各省庁、大手企業へ入省、入庁、就職しています。また、いろいろな企業で社長やリーダーをされていたり、ベンチャーを起業したりといろいろな組織のリーダー・トップをされている方が多くいます。
卒業してからわかることが多いですが、アカデミアやバイオベンチャーにいるからかもしれませんが、東大卒の方と出会うことも多く、さらに東大農学部・農学生命科学研究科出身のリーダーの方も見聞きすることがあります。
これは、大きなメリットであり、在学中に出会った先生・同級生のみならず、同じ大学院・研究科出身というだけで、人は帰属意識や共通事項があるということで、いいイメージを持ってもらえます。
もちろんこれは、東大に限らずですが、東大大学院に進学すれば間違いなくあなたの人生にとって大きな財産となると思います。
優秀な学生が集まる
これは言わずもがなですが、あえてここでお伝えしています。
東大に行くと同じ研究室や学部には東大の学部生とも出会います。
東大生の中には本当に天才・秀才がいるんだと知ることができます。
私の周りにも、
”一度担当した学生の名前を全員覚えている教授”
”一度読んだことを覚えている学生”
など、テレビや漫画の世界でしか聞いたことのない人がいました。。。
この何がメリットなの?と思われるかもしれませんが、上記の天才・秀才がいる一方、東大生の多くは、努力の賜物で東大に入っているということがわかりました。
ドラゴン桜ではありませんが、努力と強い気持ちで東大に入った方のほうが多いです。
勉強する努力も才能といってしまえばそれまでですが、それを実際に知ることができたことがメリットです。
天才もいるが努力して東大に入った人も多くいるということを知ることができれば、自分の才能を測りながらも、一方で努力や目標があれば何でもできるのではないかと自分自身に対する期待をもつこともできます。
それに、大学院入試に合格したということも自信にしていってほしいと思います。
私は東大を卒業した今も、努力さえすれば何でもできるというマインドは持ち続けており、このマインドセットを東大に進学したことでできたことは大きなメリットだと感じています。
私大に比べ学費が安い
これももう知っているよ。という方も多いかもしれませんが、改めて計算します。
私の出身大学である成蹊大学大学院・理工学専攻の学費と東京大学大学院・農学生命科学研究科を比べてみます。
成蹊大学・理工学専攻(初年度) | 東京大学大学院・農学生命科学研究科(初年度) | |
授業料 | ¥750,000 | ¥535,800 |
施設設備資金 | ¥360,000 | ¥0 |
入学金 | ¥0(内部進学の場合) | ¥282,000 |
合計 | ¥1,110,000 | ¥817,800 |
以上のように、初年度は30万円程度(今と同じ大学に進学する場合)の差になっています。
ただ、これを修士2年間及び博士卒業までの5年間で比べてみます。
成蹊大学 | 東大 | |
修士2年間 | ¥2,220,000 | ¥1353,600 |
博士3年間 | ¥2,910,000 (¥970,000x3) | ¥1,562,400 (¥520,800x3) |
合計 | ¥5,130,000 | ¥2,916,000 |
となり、成蹊大学の修士2年間の学費で、東大での5年間とほぼ同じになります。
この差は大きく、私もこのおかげで、博士課程まで進学でき博士号を取ることができました。
私学によってはこの差が大小あるかもしれませんが、やはり大学院進学にはお金がかかりますので、東大を含めて国公立へ進学するメリットはあると思います。
注意
*上記の金額は、2020年時点での金額であるため、年度により変動する可能性があることがご了承ください。
*国立大学の学費は、一様に¥535,800ではありません。一部の大学では¥642,960と上限のところもあります。
大学運営交付金が一番多い
まず大学運営交付金とは?
大学運営交付金とは
基盤的経費の安定的な確保と 機能強化への重点支援のために国から交付されるお金。引用:旺文社 教育情報センター
つまり、日本にある大学へ国から交付されるお金であり、大学の施設維持費やシステムなどの運用費に使われます。交付される金額は大学の評価により変わります。
ちなみに、H29年度(2017年)の交付金ランキングTOP10は以下のようになっています。
順位 | 大学名 | 予算額(億円) |
1 | 東京大学 | 824 |
2 | 京都大学 | 543 |
3 | 東北大学 | 463 |
4 | 大阪大学 | 442 |
5 | 九州大学 | 409 |
6 | 筑波大学 | 407 |
7 | 北海道大学 | 357 |
8 | 名古屋大学 | 312 |
9 | 広島大学 | 252 |
10 | 東京工業大学 | 214 |
引用:2017 旺文社 教育情報センター
これを見て分かる通り、東大は国からの交付金が一番多いことがわかります。
また、各大学の売上高を調べた結果も出ていますが、こちらでも東大が約2600億と日本で一番となっています。
「売上高が大きい国公立大学ランキング」(引用:東洋経済)
このお金を実際にみなさんが東大で教授することはたくさんあります。
その一部の例です。
・大学図書館の図書数が充実している。
・ほぼすべての電子ジャーナルを読むことができる。
・学生給付金等が充実している。
どれも重要ですが、研究をしていく上で、電子ジャーナルが読み放題であることはとても大きなメリットです。
NatureやScience, Cellといった有名な雑誌はもちろんですが、とても専門的な雑誌もほぼ読むことができます。読めなかった雑誌はとても古い論文で電子ジャーナルになっていないなど、数えるくらいでした。
研究では過去の論文を読み、何がわかっていて何がわかっていないのかを知る必要があります。また自分の研究分野の新しい論文をを常にフォローする必要があります。
そのために論文は欠かせないのですが、成蹊大学ではほとんど紙・電子ジャーナルに関わらず読むことができず、その都度先生にお願いし、一部1000円などを出していただいて読んでおり、情報格差が生まれます。
この点、東大や京大などの大学では大学のメールアドレスさえあれば電子ジャーナルは読み放題なので常に多くの情報へアクセスできる環境が整っています。
また、博士過程のときは特別研究員や大学教員の補助員として先生の授業の手伝いをする代わりに、前記または後期で30万円(月5万円x半年)などのお給与を研究科から給付されます。
仕事は、先生の授業のお手伝い(プリント印刷)や実習授業の講師などです。
これも、授業料のうち半分の金額なので非常に大きいと思います。
東大は海外でも知られている
いまでこそよくニュースで世界大学ランキングで東大を始め日本の大学は順位が下がっていると言われていますが、日本では最難関の大学であることは変わりないと思います。
なので、実際にスウェーデンやアメリカに研究員として留学しましたが、「Doktor Nakanoは東大(The University of Tokyo)出身だよね?すごいね。」と言われました。
東大=優秀な人が多いというイメージは海外でも同じようで、ある程度信頼を得られるかもしれません。
もちろん、それだけだけではだめであり、研究の世界では出身大学よりも、研究成果が大事になることはいうまでもありません。
東大大学院卒という学歴がつく
下世話な話かもしれせんが、事実になります。やはり東大大学院卒ということでいい意味でフィルターをかけられます。
就職活動や一般的な評価でも優位なことが多いときは多いでしょう。
私も就職活動をしましたが、書類審査で落ちた経験は例えば10社応募しても1社か2社でした。
ただ、これも一般的な意見であり、東大大学院卒だからどの起業も受かるということはありません。やはりその人自信の能力や人柄が大事になることは肝に命じておきましょう。
これはデメリットにもなりますので、デメリットの項でデメリットと感じた点も紹介します。
東大大学院へ進学するデメリット
ここまでメリットをご紹介してきましたが、次は東大大学院へ行って感じたデメリットを紹介します。
以下が思いついた限りでのデメリット一覧です。
デメリット一覧
- 周りが優秀すぎる
- 学生ロンダリングと言われる
- 学費・生活費がかかる
- 東大大学院卒という学歴がつく
以上になります。
それぞれのメリットについて詳しく紹介します。
周りが優秀すぎる
メリットで書きましたが、本当に東大には東大の内部生に限らず他大学からでも優秀な学生が多くいます。
僕が特にデメリットに感じる理由は、劣等感を感じたからでした。
具体的には、博士に進むと多くの人は学術振興会の特別研究員へ応募します。
これは、最長3年、最短2年間毎月20万円の給与と年額100万円前後の研究費が交付される制度です。
私も応募しましたが、論文など結果ないため最後まで不採用でした。
ただ、私の研究室の同期や後輩、他の研究室の同期など東大では全員ではないですが、多くの学生がこの特別研究員に採用されます。
このときに、「どうして僕だけ。。」と思い悩んだときがありました。
ただ、これは今となっては当時の僕の努力が足りなかっったと自分自身が悪いと俯瞰して見ることができており、いい経験ですが、その当時はとても精神的には良くなく東大に進学した際のデメリットに感じました。
学生ロンダリング
学生ロンダリングとは
大学院進学の際に自身の出身大学よりもさらに上のレベルの大学院に進学すること
君は学生ロンダリングだね。と直接言われたことはありませんが、就職活動をするときなどに揶揄される言葉です。
ただ、これは巷で言われていることであり、メリットにも書いたように、就職活動の際は書類審査で落ちることはあまりありません。
書類審査以降は自分次第なのでどの学部出身かは関係ありません。
デメリットに書いていますが、学生ロンダリングはむしろどんどんすべきです。
海外ではよりいい大学院へ進学している学生は多くいますが、それはとても評価されます。
なぜなら、よりレベルの高いところへいくために大学に入ってからも努力をした証拠であるからであり、海外ではどの大学を出たかも大事ですがどのような学歴(学部卒なのか、大学院の修士卒か博士卒か)が大事になります。
日本では、いわゆる「学閥」、海外では「学歴」が重要視される傾向にあるようです。
学生ロンダリングなんて言葉は海外では聞いたことがありません。
なので、東大に限らず学部よりもいい大学院へ行った場合、自分の目標に向かって努力した結果なのですから、ホコリを持ちましょう!
学生ロンダリングについて以下の記事でも書かれていますので、参考にしてみてください。
学生ロンダリングもありじゃない?〜学歴への不満を解消できるラストチャンス〜 (引用:外資就活.comー)
学費・生活費がかかる
これは、特に、実家から通えないところに住んでいる、地方の方にあてはまります。
東大大学院は東京都の文京区の本郷・弥生キャンパスがメインキャンパスになります(一部、千葉県・柏市にもあります。)。(近くに、東京ドームや後楽園があります。)
農学生命科学研究科は弥生キャンパスです。
私は埼玉にいましたので、実家から通える距離だったのですが、東大の学部生・大学院生に関わらず、東大は地方出身の学生が多くいます。
成蹊のときに比べて出身県の多様性は秀でています。むしろ海外からの留学生もいるくらいなので。
文京区は都内でも家賃相場が高いところ(1K : 約10万円)なので、多くの学生は北区(王子)や豊島区(駒込)や東大の学生寮に住んでいる人が多いです。
それでも、家賃は6~7万円+食費などのお金がかかります。
これに学費もかかるので、国立大で学費は私学に比べやすいですが、都内での生活費を含めると合計では金額は高くなる可能性もあり、それ相応の金額なので、お金の面はやはり大きなデメリットでしょう。
東大大学院卒という学歴がつく
東大大学院卒という学歴は、メリットにも書きましたが、デメリットにもなりえます。
東大卒と知られると、テレビに出てくるような東大生をイメージしている方は多いので、何でも知っているかのように思われがちです。
特に今は「東大王」や「東大ナゾトレ」などテレビで東大生がおおく活躍しているため、なおさら注目されています。
ただし、東大の学部生・大学院生含めて東大生みんながそうではありません!
これだけは断言しておきます(私もそうです)。
テレビに出てくるような東大生はクイズ研究会などに所属したり、勉強したりと特別に知識をつけています。
もちろん、テレビに出ない東大生もみんな優秀ですが、何でも知っているかのように思われるのは困ってしまいますね。。
こういう背景もあり、どこの大学・大学院卒なの?と聞かれると「一応東大大学院卒ですが、学部は成蹊です。」と言って自然と自分を卑下してしまいます。
ただ、皆さんはこんなことを言わず、東大に受かって無事卒業したら胸を張って「東大卒です」と言ってほしいと思いますし、日本でも海外のように学生ロンダリングウェルカムな文化にもっとなってほしいなと思います。
まとめ
東大大学院に入学したDoktor Nakanoが感じた、東大大学院進学のメリット・デメリットを紹介しました。
これは、あくまで私が感じたメリット・デメリットですので、みんさんに当てはまるものではありませんのでご注意ください。
ただ、全体を通して言えることは、東大に進学した場合メリットのほうがはるかに多いということです。
このブログでは東大大学院の入試情報を紹介していますが、これも東大大学院へ進学できたからかける情報であり、「東大」というブランドを教授・利用しています。
東大のお話をしましたが、その他の大学院でもそれぞれのメリットは多くありますので、東大に限らず、行きたい研究室があるなら、その研究室がある大学院へ進学して自分の将来を切り開いていってほしいともいます。
東大大学院や他大学の大学院を考えているあなたへ少しでも参考になれば幸いです。
あなたの将来を切り開いて行ってください。
Doktor Nakano (@DoktorNakano)